UEFAチャンピオンズリーグ2017-18には、プレミアリーグのクラブが5チーム出場しています。
ここまで好調のプレミアリーグ勢でしたが、第3節も引き続き好調を維持できたのでしょうか?
今回の記事では、プレミア勢のチャンピオンズリーグ第3節を各チームごとに振り返ります。
目次
グループA『マンチェスター・ユナイテッド』
第3節終了時の順位表
勝ち点 | 得失点差 | |
マンチェスター・ユナイテッド | 9 | +7 |
バーゼル | 6 | +4 |
CSKAモスクワ | 3 | -4 |
ベンフィカ | 0 | -7 |
チャンピオンズリーグのグループAを戦うマンチェスター・ユナイテッドは、アウェイでポルトガルの古豪ベンフィカに0-1で辛勝。
ハムストリングの怪我で離脱中のMF「ポール・ポグバ」、さらにMF「マルアン・フェライニ」も怪我で欠き、中盤の采配に苦労している印象のモウリーニョ監督ですが、この試合ではMF「アンデル・エレーラ」とMF「ネマニャ・マティッチ」を起用しました。
プレミアリーグで得点王争いを繰り広げるFW「ロメル・ルカク」はもちろんワントップでの出場です。
前半は非常に退屈な試合展開
対戦相手のベンフィカは、グループAの中でも最下位に沈んでおり、決して好調とは言えません。
この試合もマンチェスター・ユナイテッドの一方的な展開となるかと予想されましたが、序盤は意外にもベンフィカのペースで進んでいきます。
15分。ベンフィカ左サイドバックの「アレハンドロ・グリマルド」がユナイテッドの3選手をかわして、左サイドからグラウンダーのクロスを上げ、FW「エドゥアルド・サルビオ」がボレーで合わせますが、ここはユナイテッドDF「ダレイ・ブリント」が体を寄せて対処します。
ベンフィカはホームサポーターの後押しもあり、いいリズムで攻撃を組み立てています。
一方、マンチェスター・ユナイテッドの攻撃力は鳴りを潜め、32分までシュートを一本も放つことが出来ないほど。
トラップの精度などでミスが目立ち、得点も入らず、前半の45分は見ていても非常に退屈な試合内容でした。
後半からようやくエンジンがかかって来たのか、マンチェスター・ユナイテッドは46分、50分、58分と決定機を作り出しますが、この試合がデビュー戦となった18歳のベンフィカGKスビラルの奮闘もありゴールを奪うことができません。
しかし、64分にマンチェスター・ユナイテッドは意外な形から先制点を奪います。
左サイドのタッチライン際でフリーキックを得たマンチェスター・ユナイテッド。
キッカーのFW「マーカス・ラッシュフォード」は、GKのスビラルのボジションが前過ぎると見たのか、遠い距離にもかかわらずキーパーの頭上を超えるようなシュートを放ちます。
GKのスビラルは難なくキャッチできると判断し、弾くことを選択せずにしっかりとキャッチ。
しかし、目測を誤ったのかキャッチしたのはまさかのゴールの中。
ゴールラインテクノロジーによってマンチェスター・ユナイテッドのゴールが認められ、珍しい形でマンチェスター・ユナイテッドが先制します。
結局この1点が決勝点となり、マンチェスター・ユナイテッドが1-0で逃げ切りに成功しています。
試合内容的にはまったく良くなかったものの、勝利という結果を手にしたのは大きいです。
しかし、決勝点を挙げたラッシュフォードが終盤に膝を負傷してしまったのが心配ですね。
ルカクも90分を通して目立った活躍ができず、疲労の色が濃くムヒタリアンと前線のパフォーマンスも今ひとつ。
徐々にですが過密日程の影響が出てきています。
とはいえ、グループステージの突破に王手という事実に間違いはありません。
残り3試合のうち2試合がホームゲームです。マンチェスター・ユナイテッドのグループステージ突破は確実でしょう。
この試合はベンフィカのGKスビラルにとって、ほろ苦いデビュー戦となってしまいましたが、これをいい経験として成長して欲しいですね。
グループC『チェルシー』
第3節終了時の順位表
勝ち点 | 得失点差 | |
チェルシー | 7 | +7 |
ローマ | 5 | 1 |
アトレティコ・マドリード | 2 | -1 |
カラバフ | 1 | -7 |
チャンピオンズリーグのグループCを戦うチェルシーは、イタリアの強豪ローマと対戦し、ホームのスタンフォード・ブリッジで3-3と引き分けています。
2節ではアトレティコ・マドリードをアウェイで破り、今節ではセリエAのローマと引き分け「死のグループ」で首位をキープしています。
チェルシーを率いるコンテ監督は、3-5-2のフォーメーションを採用。
ウィングバックに「マルコス・アロンソ」と「ダヴィデ・ザッパコスタ」、中盤のセンターには本職がセンターバックのDF「ダヴィド・ルイス」を起用しました。
怪我から復帰したエースのFW「アルバロ・モラタ」はMF「エデン・アザール」と2トップを組みます。
チェルシーとしては、プレミアリーグで最下位クリスタル・パレスにまさかの敗戦をした後なので、良いゲームをして気持ちを切り替えたいところですね。
序盤からスコアが動く激しい試合に
スコアが動いたのは11分。
チェルシーMFダビド・ルイスが前線に送ったスルーパスはカットされてしまうものの、パスを出した後にも足を止めていなかったダビド・ルイスはルーズボールにいち早く反応。
インサイドで狙いすまし、ダイレクトで放ったシュートはそのままゴール右隅へと吸い込まれました。
監督の中盤起用に見事応えたダビド・ルイスのゴールでチェルシーが先制します。
続いて37分、自陣でボールを奪い返したチェルシーMFエデン・アザールがドリブルで運ぶと、2トップの一角であるモラタにパス。
モラタはシュートを選択しますが、ここはローマDFファシオがブロックします。
しかし、ディフェンスの足に当たって浮き上がったボールは、直前にマークを上手く外していたアザールの元へ。
アザールがフリーで打ったボレーシュートがネットに突き刺さり、チェルシーがリードを2点に広げます。
優位に立ったチェルシーですが、相手はセリエAの強豪ASローマです。このまま簡単に終わる相手ではありません。
直後の40分、左サイドでボールを持ったローマDF「アレクサンドル・コラロフ」は、スピードでチェルシーのディフェンス2枚を置き去りにし、迷わず左足で強烈なシュート。
チェルシーDFクリステンセンに当たりコースが変わったシュートはそのままゴールに吸い込まれ、ローマが1点差に詰め寄ります。
64分、チャンピオンズリーグ第3節のベストゴールに選ばれたスーパーゴールが生まれました。
ボールを持ったローマDFファシオは、ハーフウェイライン付近から、ゴール前のローマFW「エディン・ジェコ」までロングパス。
走り込んだジェコは迷わず左足を振り抜き、ダイレクトボレーで豪快にネットを揺らします。
同点に追いついても勢いが止まらないローマは69分に、DFコラロフのフリーキックに再びFWジェコが頭で合わせ、一気に逆転に成功。
ホームで負けるわけにはいかないチェルシーに残された試合時間は20分です。
75分、ボックス付近の右サイドでボールを受けたチェルシーFWペドロは狙いすましたかのように中央にクロスを送ります。
このクロスに頭で合わせたのがチェルシーの10番を背負うエースのエデン・アザール。
上手く頭を振って流したヘディングのコースは完璧で、これはキーパーも防ぎようがありません。
逆転を許しながらも土壇場で追いついたチェルシー、試合はこのまま3-3でドロー決着となりました。
シュート数は互いに15本と非常にアグレッシブな試合で、見ていてとても面白い試合でした。
チェルシーは縦へのロングボールへの対応がイマイチで、負傷中のモーゼスの代役を務めているDFザッパコスタは、他選手との連携が上手くいっていません。
グループ首位をキープしているとはいえ、ウィークポイントを露呈してしまったチェルシーは早急に対処方法を見つけなければいけませんね。
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グループE『リヴァプール』
第3節終了時の順位表
勝ち点 | 得失点差 | |
リヴァプール | 5 | +7 |
スパルタク・モスクワ | 5 | +4 |
セビージャ | 4 | -1 |
マリボル | 1 | -10 |
チャンピオンズリーグのグループEを戦うリヴァプールは、スロベニアのマリボルとのアウェイゲームに挑み、0-7で圧勝しました。
チャンピオンズリーグでは2試合連続ドローとつまづき、なんとか勝利したいこのゲームでリヴァプールの攻撃陣がついに爆発。
鬱憤を晴らすかのようなゴールラッシュで見事にCL初勝利を掴み取りました。
リヴァプールのゴールラッシュは開始4分から
クロップ監督は前節に続いてGKに「ロリス・カリウス」を起用。カリウスはCLでゴールマウスを守ることが定番になっていますね。
直前に行われたプレミアリーグからは、MF「ジョーダン・ヘンダーソン」をMF「ジェームズ・ミルナー」に、DF「ジョー・ゴメス」をDF「アレクサンダー=アーノルド」に変更しています。
リヴァプールのゴールラッシュが始まったのは試合開始後わずか4分。
相手の不用意なバックパスをFWサラーがスピードを活かしてインターセプト。
そのままドリブルでボックス内に侵入し、最後は中央でフリーだったフィルミーノにラストパス。
グラウンダーのパスをフィルミーノが難なく押し込みリヴァプールが先制します。
リヴァプールは前半の13分、19分、40分にもゴールを挙げ、前半終了時点で4-0と勝負を決定づけます。
特にスタメンに起用されたMFミルナーはボックス付近で常に相手の脅威となっていましたね。
後半にも3点を追加したリヴァプールは、得失点差で大きなアドバンテージを得る7得点で完勝。
相手のミスからの得点がほとんどでしたが、そのチャンスを逃さないというのは勝ち切るために大切なことです。
さらに、同グループのセビージャがスパルタク・モスクワにまさかの5-0で敗北したのが追い風となり、グループ首位に躍り出ることに成功しました。
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グループF『マンチェスター・シティ』
第3節終了時の順位表
勝ち点 | 得失点差 | |
マンチェスター・シティ | 9 | +7 |
シャフタール・ドネツク | 6 | 0 |
ナポリ | 3 | 0 |
フェイエノールト | 0 | -7 |
チャンピオンズリーグのグループFを戦うマンチェスター・シティは、イタリア・セリエAのナポリとホームで対戦し2-1で辛勝。
グループ首位通過を争うであろう強豪に対してホームでしっかりと勝ち切ることができました。
マンチェスター・シティはCB「ヴァンサン・コンパニ」とDF「バンジャマン・メンディ」を負傷で欠いています。
グアルディオラ監督は前節同様に「ジョン・ストーンズ」と「ファビアン・デルフ」を代役に起用しました。
シティは前半から攻勢に出る
前半からマンチェスター・シティは積極的にゴールを奪いに行きます。
スコアが動いたのはわずか9分。相手陣内、左サイドの深い位置から中にボールを入れたマンチェスター・シティ。
これに合わせたDF「カイル・ウォーカー」のシュートは相手ディフェンスに弾かれるものの、こぼれ球を拾ったFWスターリングがダイレクトでシュート。
ボールがゴール左隅に突き刺さり、シティがあっという間に先制します。
さらに13分、マンチェスター・シティは右サイドからクロスを放り込みますが、ここは相手ディフェンスがクリア。
しかし、中途半端になったクリアをマンチェスター・シティMF「ケヴィン・デ・ブルイネ」が拾い、中央のFWガブリエル・ジェズスにグラウンダーのクロスを送ります。
相手ディフェンスがギリギリ届かない絶妙なスピードとコースのパスを受けたジェズスは、冷静にワンタッチでゴールを決めました。
開始15分以内に2点を奪取し、マンチェスター・シティが攻撃力の高さを見せつけます。
一方のナポリは、要所でマンチェスター・シティのゴールを脅かしますが、PKのミスなどもあり得点を奪うことができません。
後半もマンチェスター・シティのペースでゲームは進みますが、意外にも次のゴールを奪ったのはナポリでした。
72分、マンチェスター・シティMFフェルナンジーニョがエリア内でファールをしてしまい、ナポリにPKが与えられます。
一度目のPKは失敗してしまったナポリでしたが、今度はしっかりとこれを決めて1点差に詰め寄りました。
しかし、ナポリの反撃もここまで。2-1でマンチェスター・シティが勝利し、グループリーグ3連勝を飾り、勝ち点を9に伸ばしています。
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グループH『トッテナム』
第3節終了時の順位表
勝ち点 | 得失点差 | |
トッテナム | 7 | +5 |
レアル・マドリード | 7 | +5 |
ドルトムント | 1 | -4 |
アポエル | 1 | -6 |
混戦が予想されるチャンピオンズリーグのグループHを戦うトッテナムは、アウェイで昨年CL王者のレアル・マドリードと対戦し1-1のドロー。
レアル・マドリード相手ということで敗戦濃厚かと思っていたのですが、トッテナムが敵地で勝利にも値する価値あるドローを手にしました。
トッテナムは敵地で見事な戦いを披露
トッテナムは前半、レアル・マドリードが誇る攻撃力に圧倒され攻め込まれます。
しかし、レアル・マドリードFWクリスティアーノ・ロナウドのヘディングシュートがゴールポストを叩くなど、運にも味方されながら徐々に相手の攻撃に順応していきます。
押せ押せモードだった敵地サンチャゴ・ベルナベウのレアルサポーターを凍りつかせたのは、前半28分。
トッテナムDF「セルジュ・オーリエ」の右サイドからの速いグラウンダーのクロスにFW「ハリー・ケイン」がヒールで合わせようとしますが、ここは空振り。
しかし、そのボールがケインをマークをしていたレアルマドリードDFヴァランに当たり、そのままゴールへ。
判定はオウンゴールとなり、トッテナムがラッキーな形で先制点を奪います。
ホームで負けられないレアル・マドリードはリードを奪われた後にさらに攻勢を強めますが、3-5-2のシステムで5バックに可変するトッテナムの守備は強固でなかなか崩すことができません。
しかし、42分にペナルティエリア内でトッテナムDFオーリエがレアル・マドリードMF「トニ・クロース」を倒してしまい、レアル・マドリードにPKが与えられます。
これをクリスティアーノ・ロナウドがキッチリと沈めてレアル・マドリードが同点に追いつきます。
後半はどちらも再三決定機を作り出しますが、トッテナムGK「ウーゴ・ロリス」、レアル・マドリードGK「ケイロル・ナバス」の両キーパーが好セーブを連発。
両チームが互いにゴールを許さず、試合はそのまま1-1の同点で終了。
グループ首位を争う直接対決は勝ち点1を分け合う結果となっています。
トッテナムの戦いぶりは見事で、今季のプレミア勢が欧州で脅威となることを象徴するような試合でした。
次節はホームのウェンブリー・スタジアムで再びレアル・マドリードと対戦します。どのような結末を迎えるのか注目したいですね。
ハイライト動画
まとめ
チャンピオンズリーグの第3節を終え、プレミア勢は全チームがグループ首位と素晴らしい結果を残しています。
ここまでの結果をまとめると11勝4分と驚異的な数字です。
一方で3位以下にドイツやスペインといった強豪国のクラブがいるのが今季のCLでは目立ちますね。ここからどう挽回してくるのか見ものです。
マンチェスター勢はグループステージ突破に王手、トッテナム、チェルシー、リヴァプールも気を抜かなければ2位以内には入れそうです。
グループリーグの突破が確定してくる次節、プレミアリーグのクラブはどのような結果を残すのでしょうか。引き続き応援していきましょう!