マンチェスター・ユナイテッドは、モウリーニョ監督就任後から大型補強を敢行しており、2017年9月の時点で選手・スタッフにかかる人件費が前年比プラス13.5%の2億6350万ポンド(約395億円)にまで膨れ上がっています。
そのため、マンチェスター・ユナイテッドの経営陣は、モウリーニョ監督に対して人件費の削減を要請。
冬の移籍市場で新たな戦力を加えるのであれば、先にビッグネームの放出から始めることがマストとなってしまいました。
今回の記事では、マンチェスター・ユナイテッドの放出候補が誰になるのかを考えていきたいと思います。
放出候補① ルーク・ショー
DF「ルーク・ショー」は2014年の夏、サウサンプトンから当時の10代に支払われた移籍金の最高額である3200万ポンド(約45億円)で加入しました。
ルーク・ショーは、才能あふれるサイドバックとして将来を期待されていましたが、2015年に右足の脛骨を重複骨折する重傷を負い、その後は負傷続き。
現在もまだ22歳と伸びしろは十分にありますが、負傷後はトップフォームを取り戻すことができておらず、直近1年間で先発はわずか4回。
今年の4月にはルーク・ショーの姿勢にモウリーニョ監督は以下のように苦言を残しています。
「彼にとってベンチに座ることは受け入れがたいことなのだろう。私は、アシュリー・ヤングやマッテオ・ダルミアン、デイリー・ブリントらとショーを比較することはできない。彼の練習における態度や集中力、情熱は他の選手と比べたくない」
上記のコメントから分かるように、ルーク・ショーは完全にモウリーニョ監督の構想から外れてしまっています。
今夏の売却も予想されていましたが、結局残留。
しかし、その後も出場機会を得ることは出来ていないので、今冬の放出候補筆頭とされています。
もし僕が監督なら、負障癖・姿勢や集中力に難がある選手はいかに将来有望であっても起用することはありません。
そのような選手がいることでチームのバランスが崩れたり、負傷がちな選手を主軸に置くと離脱した際にチームの立て直しができなくなってしまいますからね。
将来の主軸を担う選手であると期待されていただけに、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターの中にはショーを放出してほしくないと考える方も多いでしょう。
しかし、イングランド代表にも選出されているルーク・ショーの今後のキャリアを考えると、他クラブに移って武者修行をした方が良いのかもしれません。
個人的にはアーセナルMF「ジャック・ウィルシャー」の例のように、他クラブへのレンタル移籍がベストの選択肢と考えています。
放出候補② マルアン・フェライニ
MF「マルアン・フェライニ」は、アレックス・ファーガソン監督の後を継いだデイヴィッド・モイーズ監督が最初に獲得した選手です。
エヴァートンの監督からマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任したモイーズ監督の後を追うように、2013年8月にエヴァートンから2700万ポンド(約40億円)で加入。
加入当初はモイーズ監督が「教え子に贔屓している」「ユナイテッドにプレーするレベルに無い」と批判の対象となることもありましたが、フェライニは持ち前の空中戦の強さを活かして攻守両面で活躍し、徐々にサポーターの信頼を勝ち取っていきました。
しかし、試合の流れを変えるためのスーパーサブのような役割がほとんどで、今シーズンの先発出場はわずか3試合。
MFポグバがハムストリングの負傷で2ヶ月の離脱をしている間、代役として先発出場の機会が増加すると予想されましたが、不運にもフェライニは代表戦で負傷し、1ヶ月の離脱となってしまいました。
スーパーサブとしてモウリーニョ監督も重用しているフェライニですが、放出候補となる理由には残りの契約年数の問題があります。
フェライニとマンチェスター・ユナイテッドの契約は今季終了までとなっており、マンチェスター・ユナイテッドは9月に契約延長オファーを提示。
しかし、フェライニは出場機会の増加を望み、この契約延長オファーを拒否しています。
契約が残り半年となる今冬の移籍市場には他クラブとの事前契約が可能となるため、モウリーニョ監督としてはなんとかそれまでにフェライニを説得して残留させたいでしょう。
一方、マンチェスター・ユナイテッドの経営陣は契約延長を拒否するなら放出するという姿勢だと考えられます。
フェライニは年齢も今年で30歳になりますし、同ポジションの若い選手が獲得できるのであれば、経営陣は喜んで放出するでしょう。
フェライニがサブ要員を容認するなら残留、そうでなければ放出という状況なので、フェライニが人件費削減のための放出候補に入るのは間違いないですね。
個人的には、フェライニは今シーズンも要所で活躍しているので残留して欲しいところですが、出場機会が少ないことと、人件費高騰を考えると残留は難しいでしょう。
放出候補③ ダレイ・ブリント
オランダ代表のMF「ダレイ・ブリント」は、2014年の夏に1380万ポンド(約21億円)でマンチェスター・ユナイテッドに加入。
サイドバック・センターバック・ディフェンシブミッドフィールダーなど、複数のポジションをこなすことができる選手です。
しかし、どのポジションにおいてもスペシャリストといえる存在ではなく、穴が空いたポジションを埋めるようなサブ要員として重宝されていました。
ブリントは今夏、プレミアリーグでわずか3試合の先発出場と1試合の途中出場に留まっています。
ブリントはセンターバックとしての起用が主ですが、強さが無いのが難点。
モウリーニョ監督はフィジカルに長けたセンターバックを好んでいるため、今夏にDF「ビクトル・リンデロフ」を獲得しました。
リンデロフが未だにプレミアリーグに適応できていないとはいえ、代表戦などでパフォーマンスを上げてきているので、適応は時間の問題でしょう。
また、靭帯の負傷で離脱していたDFマルコス・ロホの復帰もあり、今後さらにブリントの置かれる状況は苦しくなると見られます。
今夏の移籍が噂されていましたが、本人がポジション争いに意欲を見せて残留。
しかし、現在の状況を見ると、早くて今冬、遅くてもシーズン終了後の放出はほぼ確実と言えるでしょう。
まとめ
プレミアリーグ第11節を終え、現在2位のマンチェスター・ユナイテッド。
悪くないポジションで2018年を迎えられそうですが、首位のマンチェスター・シティに勝ち点8の差をつけられている現状にモウリーニョ監督は満足しないでしょう。
4-2-3-1といったサイドバックを置くフォーメーションでは、中盤が本職のMF「アシュリー・ヤング」やMF「アントニオ・バレンシア」がサイドバックを務めていることもあり、モウリーニョ監督は本職がサイドバックである選手の獲得を目指しているようです。
また、失敗に終わりましたが、今夏にはインテルのイヴァン・ペリシッチの獲得に近づいており、サイドバックに加えてウィングのスペシャリストも加えるのがモウリーニョ監督の理想でしょう。
モウリーニョ監督は今冬にバレンシアで今季1ゴール4アシストを記録している20歳のMF「カルロス・ソレール」の獲得を目論んでいるようですが、獲得するには4000万ポンド(約59億円)が必要であると見られています。
しかし、そういった新戦力を獲得するためにも、まずは経営陣の言うとおり人件費の削減が急務でしょう。
スタメンとサブの戦力差をなるべく無くし、過密日程も考慮して選手層の強化、さらに人件費についても考えなければならないプレミアリーグの監督はやはり大変ですね。
今冬の移籍市場でマンチェスター・ユナイテッドがどのような動きを見せるのか、今後も注目していきましょう。