2017-18プレミアリーグ第12節「アーセナルvsトッテナム」解説

11月18日に行われたプレミアリーグ第12節「アーセナルvsトッテナム」をスポナビライブで観戦。

会場はアーセナルの本拠地「エミレーツ・スタジアム」です。

ともにロンドンを本拠地とする両クラブの試合は「ノースロンドン・ダービー」と呼ばれ、プレミアリーグの中でも最も熱狂するダービーマッチの1つです。

ここまでの対戦成績はアーセナルが64勝、トッテナムが51勝とアーセナルの方が勝ち越していますが、近年では両クラブの力の差はほとんど無くなっています。

現在のプレミアリーグの順位はアーセナルが6位、トッテナムが3位と、上位対決になった今回のノースロンドン・ダービー。

ライバルクラブ同士の対決となったこの試合はどのような結末を迎えるのでしょうか?

両チームのスタメン・フォーメーション

アーセナル【3-4-2-1】

アーセナル率いるヴェンゲル監督は、前節同様3-4-2-1を採用。

守備の要であるDF「シュコドラン・ムスタフィ」がドイツ代表での怪我から復帰。

DF「ローラン・コシェルニー」DF「ナチョ・モンレアル」との最終ラインを形成します。

サイドにDF「エクトル・ベジェリン」とDF「セアド・コラシナツ」が入り、FW「アレクシス・サンチェス」MF「メスト・エジル」の前にFW「アレクサンドル・ラカゼット」という現状のフルメンバーが揃いました。

ホームのエミレーツ・スタジアムで負けるわけにはいかないアーセナルは3位のトッテナム相手に勝利することができるのでしょうか?

トッテナム【3-4-2-1】

対するトッテナム・ホットスパーは、アーセナルと同様の3-4-2-1を採用。

FW「ハリー・ケイン」とMF「デレ・アリ」GK「ウーゴ・ロリス」といった主力は、負傷明けでコンディションが心配ですが、このノースロンドン・ダービーになんとか間に合いました。

一方、守備の中心であるDF「トビー・アルデルヴァイレルト」はハムストリングを痛めて欠場、MF「ビクター・ワニアマ」はリハビリ中、DF「ダニー・ローズ」は代表戦で負傷したのかベンチ外と、怪我人が続出しています。

中盤にはフィジカルが強いMF「ムサ・デンベレ」とMF「ムサ・シソコ」を並べ、最前線にはハリー・ケイン、デレ・アリ、エリクセンのお馴染みの3枚です。

トッテナムは怪我人が多いですが、ここまではリーグで3位と好調。

首位のマンチェスター・シティに差を広げられないためにも、このダービーマッチに勝利したいところでしょう。

「アーセナルvsトッテナム」 ハイライト動画

前半 : 独特の雰囲気で試合はスタート

両チームともに3-4-2-1のフォーメーション、システムが噛み合えば両サイドの走り合いになるでしょう。

トッテナムとしては両サイドのトリッピアーとデイビスがどれだけ頑張れるかがポイントになりそうです。

やはりノース・ロンドン・ダービーはサポーターの熱が普段の試合とはまったく違い、スタジアムは独特の雰囲気に包まれています。

両チームは序盤からゴールを狙いに行く

序盤はボールを回すアーセナルに対し、トッテナムが素早いプレスで対応しています。

5分、アーセナルFWラカゼットがトッテナムDFダイアーのパスをカット。ラストパスを受けてシュートまで持ち込みますが、ここはバーの上に外してしまいます。

7分にはトッテナムにチャンス。

ロングボールの対応でアーセナルDFコシェルニーとムスタフィが重なってしまい、トッテナムFWハリー・ケインに抜け出されてしまいます。

裏でボールを受けたケインはボックス内に侵入、アーセナルDFムスタフィを引きつけてからタイミングを外し、素早くシュート。

威力のあるシュートでしたが、これはプレミア屈指のGKチェフの正面でした。

先制点を決めたのは負傷明けのあの選手。

トッテナムの攻撃が続く場面もありましたが、中盤のジャカ、ラムジーが防波堤となってトッテナムの攻撃陣に決定機を与えません。

伝統的な一戦ということもあり、両チームともに集中力が高く、スコアは動かないまま時間が経過していきます。

そんな時に重要な局面となるのがセットプレーです。この試合でもセットプレーから先制点が生まれました。

36分、ドリブルで仕掛けたアーセナルFWサンチェスが倒され、左サイドの深い位置でフリーキックを得たアーセナル。

MFエジルが蹴ったボールはピンポイントでアーセナルDFムスタフィの頭へ、ムスタフィが首をうまく使って放ったヘディングは、ゴールポストの内側に当たってそのままゴールへ。

ノースロンドン・ダービーの先制点はDFムスタフィの今季初ゴールとなり、アーセナルが1-0とします。

負傷明けのムスタフィがゴールを決めたということもあり、アーセナルは勢いづいています。

41分、アーセナルDFベジェリンのスルーパスにFWラカゼットがオフサイドギリギリで抜け出します。

トッテナムDFダヴィンソン・サンチェスがラカゼットにプレスに行ったため、アーセナルFWアレクシス・サンチェスがニアサイドでフリーに。

サンチェスはラカゼットが送った速いグラウンダーのクロスを見事な技術で押さえ、ゴールに近い位置から強烈なシュート。

トッテナムGKロリスも素晴らしいキーパーですが、さすがにこれは止めることができません。

アーセナルが前半のうちに2点のリードを奪うことに成功し、試合を有利に進めます。

前半はホームのアーセナルのリードで折り返し

前半は2-0でアーセナルのリードで終了。

トッテナムは序盤こそ積極的でしたが、徐々にアーセナルに押し込まれる格好になってしまいました。

緻密なプランを立てる傾向があるポチェッティーノ監督ですが、この試合では上手く対応できていないようです。

一方、ホームのアーセナルは積極的なプレスからの速い攻撃と、明確な戦い方で試合を進めています。

守備陣を中心に選手たちは非常に高い集中力を保っており、今シーズン見た中ではベストの前半でした。

後半はポチェッティーノ監督がどのように修正してくるか、アーセナルが2点のリードをどのように守るかがカギになってくるでしょう。

後半 : アーセナルの選手たちは高い集中力を保つ

2点を追いかけるトッテナムは、後半に入ると長いボールを織り交ぜながら攻撃を仕掛けます。

しかし、アーセナルの前線からの守備が素早く、トッテナムはボールを回す余裕をなかなか作り出すことができません。

いつもはアーセナルFWサンチェスが前線からプレスに行きますが、後ろが連動せずに中盤が間延びしてしまっていました。

しかし、この試合ではラカゼット、サンチェス、エジルの3枚による連動したプレスがとても効いています。

トッテナムは中盤からの組み立てが上手くいかず

トッテナムはMFエリクセンにボールが渡ればチャンスを作り出すことができるものの、なかなかその回数は増えません。

そこで、ポチェッティーノ監督は63分、MFデンベレに代えて、MF「ハリー・ウィンクス」を投入。

ウィンクスは前節で負傷していましたが、この試合で復帰を果たします。

投入直後にウィンクスからエリクセンに良いボールが通るなど、これでトッテナムの攻撃は多少スムーズになりました。

しかし、アーセナルの強固な守備陣をこじ開けるには至りません。

ポチェッティーノ監督はエースを下げる判断

トッテナムが追加点を奪えないまま、試合時間は残り15分に。

ポチェッティーノ監督は主力のFWハリー・ケインと、MFデレ・アリをベンチに下げ、FW「フェルナンド・ジョレンテ」とMF「ソン・フンミン」を投入。

負傷明けの選手たちに無理をさせない判断でしょう。

80分にはトッテナムDFデイビスの左サイドからのクロスにDFダイアーがヘディングで合わせますが、アーセナルGKチェフがビッグセーブ。

アーセナルが集中力を保った守備を続け、トッテナムはなかなか点差を詰めることができません。

アーセナルは完璧なパフォーマンス


アーセナルの選手たちは攻守に渡って気持ちが溢れるプレーが出来ており、交代した選手にはサポーターから拍手が送られます。

選手たちにも笑顔が溢れ、この試合のパフォーマンスに満足しているようです。

アーセナルサポーターのチャントが鳴り響く中、試合はタイムアップ。

2-0でホームのアーセナルがリードしたまま終了、ノースロンドン・ダービーを見事に制しました。

試合後感想

試合結果
アーセナル 【2-0】 トッテナム

ノースロンドン・ダービーということで、サポーターの声援が素晴らしく、このような環境でプレーできるプレミアリーグはやはり魅力的だと感じました。

両チームの選手に気持ちが入っているのがわかる好ゲームで、ダービーマッチにふさわしい試合内容でした。

アーセナルとしては、苦手としているビッグ6相手にこのような試合ができた事は大きいでしょう。

トッテナムが敗戦した理由としては、サイドのマッチアップで劣っていたことと、エリクセン、デレ・アリを抑え込まれたことでしょう。

特に左サイドのデイビスのポイントは何度も突かれており、最終ラインのダイアーの判断も微妙なものが多かったです。

ハリー・ケインやデレ・アリといった復帰した主力がベストコンディションでは無かったのも大きいでしょう。

個人的マン・オブ・ザ・マッチは「シュコドラン・ムスタフィ」

今回は試合を通して相手のエースであるハリー・ケインを押さえ、先制点となるゴールを決めたアーセナルDF「シュコドラン・ムスタフィ」を個人的なマン・オブ・ザ・マッチに選出します。

この試合では何度も空中戦で勝利しており、やはりムスタフィが最終ラインの中央にいるとアーセナルの守備が安定します。

ドイツ代表の試合で負傷していたムスタフィは、このノースロンドン・ダービーでの復帰となりましたが、負傷明けでこのパフォーマンスは素晴らしいですね。

ムスタフィはフィジカルも強く、足元の技術も確かなもので、ディフェンス能力だけでなくロングパスも武器の欠点のないディフェンスです。

今回の試合を見て、ムスタフィの存在はアーセナルにとって大きなものであると改めて感じました。

ディフェンスリーダーとしての資質も見え始めたムスタフィに今後も注目していきましょう。

まとめ


アーセナルとしては、最初から最後まで強い気持ちを持って戦うことができていました。

負傷明けでコンディションが悪いとはいえ、CLでレアル・マドリードを下しているトッテナム相手にこれだけの試合運びができれば、アーセナルは今季のチャンピオンズリーグ出場権を十分に獲得できるでしょう。

トッテナムとしては、主力のコンディションが悪い時にどのように対応していくかが今後の課題だと言えます。

ミッドウィークにはアーセナルがELでケルンと、トッテナムはCLでドルトムントと戦います。

過密日程で負傷者が増加する時期なので、主力をどのように休ませるかも大事になってくるでしょう。

次のノースロンドン・ダービーは2/11に行われます。その時はどのような順位になっているのでしょうか。

両チームの今後の活躍に期待しましょう。