先日、プレミアリーグが2019-20シーズンからウィンターブレイク(冬休み)を導入することに前向きな姿勢だと、英『BBC』や『スカイ・スポーツ』などの複数メディアが報じました。
このページでは、ウィンターブレイクがどのタイミングで実施されるのか、プレミアリーグのクラブにどのような影響を与えるのか考えていきます。
目次
プレミアリーグは過密日程が問題視されている
ご存知の方も多いと思いますが、プレミアリーグの日程はとてもタイトです。
欧州リーグでは一般的にクリスマスの次期から年始まではある程度の中断期間(ウィンターブレイク)が設けられており、選手たちは後半戦に向けてコンディションを整えることが可能です。
一方、大晦日や元旦にも試合を行うプレミアリーグはシーズンを通して一番の過密日程の時期となります。
その理由としては、主に以下の3点です。
- EFLカップの準決勝が2試合あること(ホーム&アウェイ)
- FAカップ4回戦でドローになると、リプレイ(再試合)が行われること
- それに加えてリーグ戦が行われること
過密日程にはビッグクラブの監督たちも苦悩している
マンチェスター・シティのグアルディオラ監督は年末年始に負傷者が続出した際、下記のように過密日程を非難しました。
「先週から非常に多くの選手が負傷している。我々は選手を殺しかねないだろう。協会の幹部はこの状況に改善しなければならない。31日に試合をして、その2日後にまた試合があるなんて常軌を逸している」
「リーグは続けられるべきだが、彼らはもう少し日程を調整できないのか。選手たちを守る気が感じられない。イングランドでは選手が守られていない。人々は監督や会見を見に来ているわけではない。試合の量ではなく、質をもっと求めるべきだ」
また、マンチェスター・ユナイテッドを率いるモウリーニョ監督も「この日程でやりくりするのは難しい。アラカルトみたいにとっかえひっかえ選手に1日の休養を与えている」と、連続で同じ選手を起用することを極力避けているようです。
プレミアリーグでウィンターブレイクの導入を検討
そのような現状もあり、ウィンターブレイクを導入することに関して、プレミアリーグとFA(イングランドサッカー協会)、EFL(イングリッシュフットボールリーグ)によって数ヶ月に渡り議論がされてきました。
その結果、2019-20シーズンからウィンターブレイクを導入することで合意に至ったとされています。
ウィンターブレイクの導入時期は、2020年2月が予定されており、各クラブには約2週間の休養が与えられるとのこと。
休養は助かるが、問題は時期
2週間の休養があれば過密日程で困ることは少なくなるでしょうが、問題はウィンターブレイクの導入時期です。
2月といえば、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグが行われる時期。タイミング的に休み明け初戦がこういった重要な試合になる可能性は十分にあります。
2週間の空白の後に選手たちがいきなり完璧なパフォーマンスを披露できるとは思いません。
そうなると、ビッグクラブの監督たちは選手たちのコンディション維持のため、クラブでの合宿やトレーニングを行うでしょう。
現状でも、FAカップを敗退したクラブは試合間隔を空けすぎないため自主的に合宿をしているところもありますので…
多少の休養はできるかもしれませんが、せっかくのウィンターブレイクでもトレーニングをしなければならず、どちらにせよ選手たちの完全休養は不可能です。
また、「ウィンターブレイクなのに十分に休めなかった」という不満も選手たちには表れ、結果としてクラブに不協和音を生んでしまう可能性もあります。
下部のクラブから見るとチャンスが減ってしまう
現在、ウィンターブレイクは「2月の週末に行うFAカップの試合はミッドウィーク開催へと変更。また、このFAカップ5回戦のリプレイを廃止」という方向で進んでいるようです。
結局リプレイを廃止するならば、FAカップ4回戦の時点でリプレイを廃止し、EFLカップのホーム&アウェイを無くした方が良いと個人的には思っています。
そうすれば、ウィンターブレイクの時期を1月下旬にずらせますので。
しかし、FAカップのリプレイはイングランドの伝統でもあるので、安易に廃止できないという側面もありますし、リプレイがあることによって小規模クラブには上位進出のチャンスも増えています。(収入にもなります)
こういった小規模クラブにはウェンブリーでプレーするチャンスが少ない選手も数多く存在しますので、その可能性をビッグクラブの過密日程解消のために奪うのもどうなのか。とも感じています。
まとめ
結局、過密日程を解消するとなると、ウィンターブレイクの導入時期以前に「伝統を残さずにFAカップのリプレイ廃止」「EFLカップ自体の廃止」「そもそもの試合数を減らす」といった根本的な改革が必要であることは間違いありません。
ビッグクラブの過密日程を解消することで、しわ寄せを受けるのは小規模クラブですので、そのような状況になるのだけは避けて欲しいですね。
ビッグクラブを欧州の舞台で勝てるようにするのか、それとも下部の小規模クラブを大切にするのか、非常に判断が難しい問題です。
ただ、1つ言えるのは年末年始の過密日程でお祭り騒ぎのようになっているプレミアリーグが見れなくなってしまうのは寂しいということです。
完全に個人的な視点から言うと、過密日程で年末年始にも試合をしているのはプレミアリーグの魅力の1つだと思いますので。
この問題に正式な回答が出るのはいつになるでしょうか、各クラブの経営陣が満足する結果になればいいのですが・・・