今季もプレミアリーグでは、ユニフォームにさまざまな企業ロゴが入っているのを目にします。
チェルシーの胸スポンサーとなっている「横浜ゴム」が4000万ポンド(約57億円)をスポンサー料として支払ったのは日本で話題になりましたが、その他のスポンサー企業は一体どのくらいの金額を支払っているのでしょうか?
英紙「デイリー・ミラー」が2017-18シーズンの胸スポンサーが支払った金額を発表していたので、今回の記事では金額をランキング形式で見つつ、プレミアリーグにおいての広告事情について考えていきたいと思います。
プレミアリーグ胸スポンサー年間支払額ランキング[2017-18]
1位. マンチェスター・ユナイテッド
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
シボレー | アメリカ(自動車) | 約66億8600万円 |
2位.チェルシー
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
横浜ゴム | 日本(タイヤ) | 約56億9000万円 |
3位(同率).マンチェスター・シティ
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
エティハド航空 | UAE(航空会社) | 約49億7900万円 |
3位(同率).トッテナム
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
AIA | 中国(保険) | 約49億7900万円 |
5位(同率).アーセナル
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
エミレーツ航空 | UAE(航空会社) | 約42億6800万円 |
5位(同率).リヴァプール
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Standard Chartered | イギリス(銀行) | 約42億6800万円 |
7位.ウェストハム
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Betway | マルタ(ギャンブル) | 約14億2200万円 |
8位.エヴァートン
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
SportsPesa | ケニア(ギャンブル) | 約13億6500万円 |
9位.クリスタル・パレス
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
ManBetX | フィリピン(ギャンブル) | 約9億2500万円 |
10位(同率).サウサンプトン
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Virgin Media | イギリス(通信) | 約8億5300万円 |
10位(同率).ニューカッスル
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Fun88 | 中国(ギャンブル) | 約8億5300万円 |
12位.スウォンジー・シティ
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
LeTou | 中国(ギャンブル) | 約6億4000万円 |
13位.レスター・シティ
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
キング・パワー | タイ(免税店) | 約5億6900万円 |
14位.ボーンマス
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
M88 | ジブラルタル(ギャンブル) | 約4億9800万円 |
15位.ストーク・シティ
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Bet365 | イギリス(ギャンブル) | 約4億5500万円 |
16位(同率).ワトフォード
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
FXPro | イギリス(金融) | 約4億2700万円 |
16位(同率).ウェスト・ブロムウィッチ
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Palm | 中国(設計開発) | 約4億2700万円 |
18位.バーンリー
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Defabet | フィリピン(ギャンブル) | 約3億5600万円 |
19位(同率).ブライトン
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
アメリカン・エキスプレス | アメリカ(クレジット) | 約2億1300万円 |
19位(同率).ハダースフィールド
企業名 | 国・業種 | 支払い額 |
Ope Sports | マルタ(ギャンブル) | 約2億1300万円 |
胸スポンサーランキングから見るプレミア広告事情
プレミアリーグの胸スポンサーが支払った総額は約400億7900万円となり、前年から約70億円上昇しました。
ドイツ・ブンデスリーガの総額が約245億円なので、プレミアリーグはドイツの倍近くの数字となっていることに驚きです。
やはりスポンサー企業にとっては、プレミアリーグ全体が大きな「広告媒体」として見なされているようですね。
ランキング1位となった「マンチェスター・ユナイテッド」は、2012-13シーズン以降プレミアリーグで優勝していないにもかかわらず、これだけの収入を得ることが出来ています。
こう見ると、クラブにとって世界中にサポーターを作っていく取り組みというのは非常に重要ですね。
プレシーズンにアジアツアーなどが行われる理由も良く分かりますし、「マーケティングのために選手を獲得する」というのもファンを広げるためには必要なことなのかもしれません。
プレミアを支えているのはアジアと中東
「マンチェスター・ユナイテッド」「マンチェスター・シティ」「チェルシー」「トッテナム」「アーセナル」「リヴァプール」といった”プレミアBIG6″のスポンサーは自動車系・航空会社・金融系が2社ずつとなっています。
しかし、リーグ全体で見てみると20クラブ中9クラブがギャンブル(オンライン・ベッティング/スポーツベッティング)の企業とスポンサー契約を結んでいます。
※ スポーツベッティング・・・海外スポーツの賭け。日本で言うサッカーくじのようなもの。
FIFAによると、フットボールファンは全世界に10億人に達するそうです。
そう考えるとフットボールは世界中に情報を発信している『メディア』という役割を持っているとも言えるでしょう。
世界中に利用者を獲得したいと考えているオンラインベッティングの企業にとって、全世界に露出量が多いプレミアリーグのクラブは相性の良い広告媒体と考えられますね。
目立つのはやはり中国をはじめとしたアジア系の企業の多さです。一方で、地元イギリスの企業は4社のみと寂しい結果に。
最早、近年のプレミアリーグを支えているのはアジアと中東の資本といっても過言ではないでしょう。
まとめ
オイルマネー、中国資本の投下といったスポンサーフィーの増加とテレビ放映権料の高額化でプレミアリーグのクラブはどんどんリッチになっています。
スポンサーフィーだけでいえば、昇格組の「ブライトン」や「ハダースフィールド」はランキング1位のマンチェスター・ユナイテッドとの差が31倍と大きく開いています。
上位チームと下位チームの差はどんどん開くと予想されていますが、個人的には逆に中堅・下位クラブの価値がどんどん上昇していくと予想しています。(レスターの躍進という前例もありますし、昇格クラブにも各国代表クラスの選手が増えています。)
そうなれば、プレミアリーグ内での競争はますます激化し、移籍金の額もこれまで以上に跳ね上がるでしょう。
とはいえ、高額な移籍金で獲得した選手がいるチームが強いという訳ではないので、莫大な資金をどこに投じるかという選択が重要になってきますね。
有名選手を獲得するのか、スタジアムを改修してサポーターの満足度を上げるのか、育成年代に投資するのか。
各クラブの決断が気になるところですね。今後も各クラブの財政事情に注目していきましょう。