プレミアリーグ

プレミアリーグでの「ダイビング」は自滅行為?最悪2試合出場停止のルール施行

イングランド=サッカー協会(以下FA)は2017年5月、ファールを偽装する、いわゆる「ダイビング」に対し、厳しいペナルティの設置とモニタリング体制の強化を発表した。

「ダイビング」が認められた場合、選手は最悪2試合の出場停止が言い渡される。課題があるとはいえ、このルールの施行は後々に国際的な共通ルールになる可能性がある。こうしたルールの実施が、審判をあざむく「偽装行為」に対し、大きな抑止力となることが期待されている。

問題となったロバート・スノッドグラスの「ダイビング」

「ダイビングの問題」が強く認識されたのは、2016年12月10日のハル・シティ対クリスタルパレス戦での1シーン。

前半27分のハル・シティのPKはロバート・スノッドグラス(現ウェストハム)の「ダイビング」がもたらしたものだった。

この試合は3-3で幕を閉じたのだが、様々な方面で「ダイビング」の是非が問われるきっかけとなった。

英国メディア『BBC』は、当事者ロバート・スノッドグラスによる「あれはPKではなかったが、審判がPKだと判断した」との発言を紹介。

英紙『ガーディアン』でもこの問題は取り上げられ、プレミアリーグ全体を巻き込んだ議論へと波及していった。

FAが発表した「ダイビング」の監視体制と処分

FAの発表によると、「ダイビング」がどうかの判断は元選手・元マネージャー・元審判の三者による審議会によって行われる。

それぞれの審議員が、問題があると思われる行為を映像で確認し、FAに意見を提出する。

三者の見解がすべて一致した場合のみに罰則が適用され、対象選手は2試合の出場停止処分を受けることになる。

『BBC』によると、これに似た取り組みはイングランドの隣国スコットランドでは2011年から施行されているとされる。

今度のFAでの取り決めは「合理的な仕組みが導入される」としてイングランド国内では歓迎する声が強い。

試合中から試合後までのモニタリングが「ダイビング問題」を解決するのか

Martin Hesketh by flickr (CC BY 2.0)

今回のFAの決定によって、選手は試合中のみならず、試合後まで監視される可能性がある。

最近では試合中にも関わらず、ゲームを中断して「インシデントレビュー」として問題シーンのビデオ判定が行われている。

これは実際に2017年のU-20W杯のイングランド対アルゼンチンの試合でも行われ、判定の結果、アルゼンチンの選手が退場処分となる事案も発生した。

こうした試合中・試合後にまでおよぶモニタリング体制が整備されれば、選手にとって「ダイビング」行為は出場機会へのリスクにしかならない。

新たな監視体制には効果が期待できそうである一方、「ダイビングによって歪んだ試合結果」をどのようにコントロールするのかといった課題とも向き合わねばならない。

数字で見直す プレミアリーグの「ダイビング問題」

Squawkaの記事(英語)では、2012 – 13シーズンから2016年12月までに「ダイビング」を行ってきたチームが独自にランキング化されている。

このランキング結果は非常に興味深い分析を与えている。

  • 1位 チェルシー:21回
  • 2位 サンダーランド:19回
  • 3位 トッテナム:14回
  • 3位 サウサンプトン:14回
  • 4位 マンチェスター・ユナイテッド13回
  • 5位 リヴァプール:12回
  • 5位 ウェスト・ブロム:12回
  • 5位 クリスタル・パレス:12回

出典:Squawka

最も「ダイビング回数」の多いチームはチェルシーで、その回数は21にものぼる。

その他マンチェスターユナイテッドやリヴァプールといった強豪も上位にランキングされているが、一方で中下位チームは「ダイビング」が少ないのかというと、決してそうとも言い切れない。

表面的にはFAの「ダイビング厳罰化」の引き金を引いたのはロバート・スノッドグラスの「偽装行為」だろう。

だが、前述のプレミアリーグの「ダイビング」の実態を考えれば、新たな「ダイビング」ルールを施行する風潮は、実はすでに整っていたとも考えられる。

「ダイビング」に対する問題意識が、試合をフェアに保つための対策を生んだ格好だ。

「ダイビングへの解決策」がもたらす世界とピッチへの影響

「偽装行為」に、フットボール界はどのように向き合うべきだろうか。こうした議論はイングランドに限らず世界中で巻き起こっていたはずだ。

もっとも、「ダイビング厳罰化」の影響はイングランド国内に留まらないだろう。

というのも微妙な得点シーンを見極める「ゴールラインテクノロジー」が世界に先駆けて導入されたのはやはりイングランドだ。

そうしたフットボールの母国で展開された「新しいルール」の数々は、FIFA主催のW杯でも実施されてきた。

フットボールのルールが統一されたのもやはり19世紀後半のイングランド。なお現代に至るまで、FAの取り決めは世界に少なからぬ影響を与えているのだ。

さて、FAの決定は短期的には「ダイビング」の撲滅につながるであろうし、長期的には「フェアプレーの向上」という課題に対し、1つの方針が示されたと言える。

かたやピッチで闘うアタッカー陣にしてみれば死活問題だ。

いままで「ダイビング」で得てきた利益は今後は望みようもない。むしろ「ダイビング」が意味するのは明らかな自滅行為そのものとなったのだ。

参照:FA公式ページ

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