2017-18プレミアリーグ第32節「チェルシーvsトッテナム」解説

4月2日に行われたプレミアリーグ第32節「チェルシー vs トッテナム」をDAZNで観戦。

会場はチェルシーの本拠地「スタンフォード・ブリッジ」です。

ともにロンドンを本拠地とする両クラブの試合は「ロンドン・ダービー」と呼ばれ、プレミアリーグの中でも最も熱狂するダービーマッチの1つです。

試合開始時点でホームのチェルシーは5位、アウェイのトッテナムは4位と、CL出場権を争う直接対決となりました。

両チームのスタメン・フォーメーション

チェルシー【3-4-2-1】

コンテ監督はいつものように3-4-2-1のフォーメーションを採用。

守護神「ティボ・クルトゥワ」を怪我で欠くチェルシー、ゴールマウスはベテランGK「ウィルフレード・カバジェロ」が守ります。

最終ラインは「アントニオ・リュディガー」「アンドレアス・クリステンセン」「セサル・アスピリクエタ」の3枚。

ウィングバックには「マルコス・アロンソ」「ビクター・モーゼス」を、中盤は「エンゴロ・カンテ」と「セスク・ファブレガス」がコンビを組みます。

その一列前には「エデン・アザール」と「ウィリアン」、1トップにはFW「アルバロ・モラタ」と、キーパー以外はおなじみのメンバーが並びました。

トッテナム【4-2-3-1】

アウェイのトッテナム・ホットスパーは、エースの「ハリー・ケイン」が負傷離脱中で、なんとかベンチ入りはしたものの、ポチェッティーノ監督はリスクを犯さない決断を下しました。

守備の中心であるDF「トビー・アルデルヴァイレルト」を欠く最終ラインは左からDF「ベン・デイビス」DF「ヤン・フェルトンゲン」DF「ダヴィンソン・サンチェス」DF「キーラン・トリッピアー」が配されます。

中盤にはフィジカルが強いMF「ムサ・デンベレ」と「エリック・ダイアー」のコンビ。

トップ下にはMF「デレ・アリ」、左サイドはMF「クリスチャン・エリクセン」右にはMF「エリック・ラメラ」、ケインが抜けたポジションにはFW「ソン・フンミン」です。

チームの絶対的な支柱であるケインが抜けたチームは、このビッグマッチでどのような戦いを見せるのでしょうか?

「チェルシーvsトッテナム」 ハイライト動画

前半 : 息をつく間もない激しい展開

試合開始直後から積極的にプレッシャーをかけにいくはアウェイのトッテナム。

一方、ホームのチェルシーはコンパクトにブロックを作って守り、速攻を狙いに行きます。

スコアが動いたのは前半29分。

チェルシーDFリュディガーが相手を引きつけて右サイドにスルーパスを出すと、DFモーゼスがフリーで受けます。

中を確認して入れた高いクロスボールにトッテナムGKロリスがパンチングに行きますが、これは触れません。

トッテナムDFサンチェスもヘディングでクリアすることができず、競り合ったチェルシーFWモラタがヘディングでゴール。

モラタはプレミアリーグ11ゴール目、約3ヶ月ぶりの得点を奪いました。


31分、トッテナムMFデレ・アリの浮き球にMFエリクセンが抜け出し、チャンス迎えますが、GKカバジェロが勇敢に飛び出してセーブ。

さらに40分、今度はMFエリクセンの強烈なミドルシュートをGKカバジェロが防ぎ、ピンチを凌ぎました。

MFエリクセンはFWケインが不在の影響なのか、いつも以上に積極的にゴールを狙っています。

41分、左サイドでボールを受けたチェルシーDFマルコス・アロンソがシュートを狙いますが、ここはトッテナムGKロリスが左手一本でビッグセーブ。

両クラブの守護神がゴールを割らせない展開が続きます。

このまま前半が終わるかと思いきや、アディショナルタイムに得点が生まれました。

46分、トッテナムは相手陣地の深い位置でボールを奪うと、DFデイビスが中央のMFエリクセンにパス。

MFエリクセンはボックスの手前から右足を振り抜きます。

無回転で急激に落ちるボールにGKカバジェロもまったく反応できず、シュートはそのままネットに突き刺さり、トッテナムが同点に追いつきました。

前半は1-1のタイスコアで終了、チェルシーとしては嫌な時間に追いつかれてしまいました。

しかし、試合内容を見ると優勢なのはチェルシーでしょう。

後半 : トッテナムが再びスーパーゴール

後半開始直後からチェルシーは猛攻を仕掛けます。

チェルシーDFモーゼスのシュートをブロックし、MFエリクセンがクリアするも、チェルシーDFアスピリクエタが見事なインターセプト。

そのまま持ち運んでクロスを入れるも、ここはトッテナムMFデンベレがフィジカルを活かしてボールを死守。

大きな追加点が生まれたのは61分です。

トッテナムMFダイアーのロングフィードにMFデレ・アリが抜け出し、後ろから来たボールをピタリとトラップ。

デレ・アリはすぐさまシュートを放ち、そのままゴールイン。GKカバジェロはノーチャンスです。

トッテナムはスーパーゴール2つで試合をひっくり返しました。

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さらに65分、トッテナムMFエリクセンのスルーパスにFWソン・フンミンが抜け出し、そのまま突破。

GKと1対1になりますが、GKカバジェロがストップ。ソン・フンミンは再びこぼれたボールをシュートしますが、ここもGKカバジェロが粘って守ります。

しかし、このこぼれ球をMFデレ・アリが拾って冷静にディフェンスをかわしてフィニッシュ。

トッテナムが1-3とリードを広げます。

リードを広げられたチェルシーは猛攻を仕掛けるも、トッテナムの守備陣は冷静に攻撃を防ぎます。

ホームのチェルシーサポーターは敗戦を覚悟したのか意気消沈。

トッテナムのポチェッティーノ監督はFWソン・フンミンに代えてFWハリー・ケインを投入。

リードをしている中でのエースの投入はコンディションを徐々に戻していくための起用でしょう。

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チェルシーのコンテ監督はDFモーゼスに代えてFWジルーを投入しますが、得点は生まれず。

その後も上手く時間を使ったトッテナムが鬼門のスタンフォードブリッジで3得点で快勝しました。

トッテナムがスタンフォードブリッジで勝利するのはプレミアリーグ創設以来はじめての事で、歴史的なゲームとなりました。

試合後感想

試合結果
チェルシー【1-3】トッテナム

プレミアリーグらしい非常に激しく、見ごたえのあるゲームでした。

内容的にはチェルシーが勝っていましたが、大事なところでシュート精度を欠いてしまいました。

一方、トッテナムは内容こそ良くないものの、MFエリクセンの無回転ミドルと、MFダイアーとMFデレ・アリのコンビネーションから生まれたゴールと、スーパーゴール2発で試合をひっくり返しました。

トッテナムはエースのFWハリー・ケインに依存しているチームだと言われがちですが、彼が不在でもこれだけの得点力があるのは大きな強みです。

このゲームで目立っていたのがトッテナムMFデンベレとDFダヴィンソン・サンチェスです。

両選手とも強靭なフィジカルが魅力な選手ですが、この試合でも対人プレーでは圧倒的な強さを見せていました。

話は逸れますが、日本代表のハリルホジッチ監督が言う「1対1のデュエルに勝てる選手」というのは、デンベレやサンチェスのような選手だよな・・・と試合を見ながら思いました。

一方のチェルシーは、カウンターの鋭さこそありますが、遅い攻撃の際にはコンビネーションがほとんど無い印象を感じました。

トッテナムは前線が流動的に絡みコンビネーションで攻撃するので、チェルシーの連携の無さがかなり目立っていました。

とはいえ、試合を決めたのはスーパーゴール2発。エース不在ながらも勝負強さを見せたトッテナムが見事だったと言えるでしょう。

個人的マン・オブ・ザ・マッチは「デレ・アリ」

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今回はトッテナムMF「デレ・アリ」を個人的なマン・オブ・ザ・マッチに選出します。

デレ・アリは昨季22得点の成績を残していますが、今季は2ゴールに留まり、パフォーマンスが批判されるなど厳しい時期が続いていました。

イングランド代表でもベンチに置かれる状況が続き、ロシアワールドカップのメンバーに入れないかもしれないという状況でした。

そんな中で迎えた大一番で、デレ・アリは見事に2ゴールを挙げチームを勝利へと導きました。

特にダイアーのロングフィードからのゴールは、抜け出し、トラップ、シュート全てが完璧なプレーでした。

トッテナムの中心選手として活躍するデレ・アリですが、まだ年齢は21歳。今後どのような選手になっていくのか非常に楽しみですね。

まとめ

今節の結果を受けて、チェルシーとトッテナムの差は8ポイントに広がりました。

昨季のプレミア王者であるチェルシーがトップ4に入れないほど今季のレベルは高く、チェルシーは来季のCL出場権獲得は難しい状況です。

チェルシーより上の順位であるリヴァプールやトッテナムは後半戦に入って勢いがあるチームなので、チェルシーは残り7試合を全勝するつもりで試合に臨まなければなりません。

昨季のディフェンディングチャンピオンが、最終的にどの順位に落ち着くのか楽しみですね。