みなさんは「ハダースフィールド・タウンFC」をご存じでしょうか?
イングランド・ウェスト・ヨークシャー州ハダースフィールドを本拠地とするクラブで、イングランド2部リーグに所属しています。
2015-16シーズンは19位に沈むなど、ハダースフィールドのプレミア昇格は遠い道のりのように思えました。
しかし2017年5月29日、ハダースフィールドはプレミアリーグ昇格プレーオフを制してプレミア初昇格を決めました。
今回の記事では、ハダースフィールドがどのようにしてプレミアリーグの昇格を決めたのか、どんなチームなのかを見ていきたいと思います。
目次
ハダースフィールドはどのようなフットボールをするのか?
ハダースフィールドのデイビット・ワグナー監督が行うフットボールは、基本的にボールを細かくつなぐことでゲームを支配していくものです。
ハダースフィールドのボール支配率はシーズン平均55.7%でリーグ3位、ショートパスに至っては1試合平均423本でリーグ2位の数字です。
ピッチをワイドに使い、サイドバックの選手が積極的に攻撃参加するのも、ハダースフィールドの攻撃の魅力でしょう。
特に右サイドのコンゴ代表MF「エリアス・カチュンガ」のドリブル突破が強力で、シーズンに12ゴールを記録しています。
Brilliant team performance & excellent atmosphere in the stadium! Thank you for the support! This must continue! #Teamkaching #UTT #PlayLOUD pic.twitter.com/vemrKI86Ol
— Elias Kachunga (@ekachunga15) 2017年4月6日
2部チームによくある単純なクリアミスなどは目立ちますが、それ以上に見ていて面白いダイナミックなサッカーを展開している印象です。
ハダースフィールド プレミア初昇格への道のり
ハダースフィールドはイングランド2部のレギュラーシーズンを5位で終え、プレミアリーグ昇格プレーオフを戦うことになりました。
プレミアリーグ昇格プレーオフはレギュラーシーズン3位から6位の4クラブで行われ、優勝したチームはプレミアリーグに昇格することが可能です。
運も味方したプレーオフ1回戦
ハダースフィールドは1回戦で、4位の「シェフィールド・ウェンズデイ」との対戦することになりました。
ファーストレグでは互角の試合を展開し、両者譲らずのスコアレスドローに終わります。
セカンドレグでは、シェフィールド・ウェンズデイのベテランFWフレッチャーに先制点を許すものの、その後相手のオウンゴールというラッキーな形で追いつきます。
2戦合計1-1でPK戦までもつれ込んだ試合は、GKダニーウォードが2本セーブするなどの活躍を見せ、PK戦4-3でハダースフィールドの勝利。
激闘のプレーオフ決勝戦
プレミア昇格目前までたどり着いたハダースフィールドの相手は、レギュラーシーズンを3位で終えたレディング。
この決勝戦での勝者がプレミアリーグ昇格への切符を手にします。
試合開始から互いに猛攻を仕掛けるも、一向にネットを揺らすことができません。
拮抗した試合はスコアレスのまま延長戦へ。
しかし、延長でも得点が入らず、勝負の行方は再びPK戦に委ねられることとなりました。
このPK戦で再び輝いたのがハダースフィールドのGK「トム・ウォード」です。冷静に相手のシュートコースを読み切り、見事にセービング。
そしてハダースフィールドの5人目のキッカー「クリストファー・シンドラー」がプレッシャーを跳ね除けて見事ゴール。
ハダースフィールドのプレミアリーグ初昇格が決まりました。
一回戦ファーストレグ、セカンドレグ、決勝戦と全て引き分けての昇格はとても珍しいですね。
ハダースフィールドはなぜプレミアに昇格できたのか?
CONGRATULATIONS, Huddersfield Town! pic.twitter.com/EPkNPWXBcn
— Premier League (@premierleague) 2017年5月29日
ハダースフィールドはピッチを広く使う戦術が魅力的ですが、決勝戦のレディング戦では、要所で陣形をコンパクトに狭めているのが見受けられました。
高い位置から複数人でプレスにいくハダースフィールドのスタイルでは、プレスをかわされた場合にディフェンスが数的不利な状況になりやすいです。
そこでワグナー監督は適切なタイミングで陣形をコンパクトにすることで、そのリスクの低減に成功。
技術的に優れている選手が多い相手ほど容易にプレスをかわしてくるので、プレミアで戦っていく上でもポイントとなる部分ですね。
2部で通用していた戦い方を、強い相手向けに柔軟に変更したワグナー監督の力量もハダースフィールドのプレミア昇格に大きく貢献したでしょう。
プレミアリーグで残留を果たすために
昇格チームが、翌シーズンに再び2部へとんぼ返りすることはよくあります。
そうならないためにも、1部でも通用する戦力を確保し、強豪を相手にしても戦える戦術を考案しなければなりません。
ハダースフィールドは今夏の移籍市場で、ブンデスリーガのマインツからGKレスルをレンタルで獲得したり、ポルトガルの強豪FCポルトからFWのドゥポワトルをクラブ最高額で獲得したりと積極的に動いています。
この調子で選手を増やし、プレミアでの戦い方に適応することができれば、1部に残留することは可能でしょう。
2部で魅力的なフットボールを展開していたハダースフィールドが、プレミアでどのようなプレーを魅せてくれるのか非常に楽しみです。