8月19日に行われたプレミアリーグ第二節「ストーク・シティ対アーセナル」の一戦。
ストーク・シティのホーム「Bet365スタジアム」に乗り込むアーセナルは、レスターとの開幕戦を4-3で制したが、去就に揺れるサンチェスはやはりベンチ外。
対するストーク・シティは開幕戦で3人の新加入選手を出場させるなどの改革を実行し、さらに8月16日にはパリ・サンジェルマンからヘセをレンタルで獲得した。
アーセナル有利の前評判に対し、積極的な補強を行ったストーク・シティはどのような闘いを見せたのだろうか。
目次
両チームのスタメン・フォーメーション
ストーク・シティ【3-4-2-1】
開幕戦に引き続き、第二節ではズマ、フレッチャー、ヘセ、シュポ=モティングの4人の新加入メンバーを積極的に起用したストーク・シティ。
中でも注目は8月16日にパリ・サンジェルマンからレンタルで獲得したヘセの先発出場だ。
一方で開幕戦で先発出場を果たしたバルセロナ下部組織出身のボージャンと、途中出場の身長203センチのクラウチはベンチスタート。
3バックをしきながらも柔軟に5バックへと変化する布陣は、アーセナルの猛攻をどのようにしのぐのか。
アーセナル【3-4-2-1】
アウェイのアーセナルは新加入のDFコラシナツ、FWラカゼットを開幕戦に引き続きスタメンに起用。
3バックのDFラインを敷き、前節先発のDFエルネニーはベンチスタート、DFホールティングはベンチ外となった。
また開幕戦ベンチスタートであったMFラムジーは先発に復帰した。
前節でレスターに対してボール支配率70%のポゼッションを展開し、レスターの3.5倍のシュート数27を記録したアーセナル。
守備的に入ってくるであろうストーク・シティにアーセナルはどのような攻撃を見せるのだろうか。
「ストーク・シティvsアーセナル」 ハイライト動画
前半 : ストーク・シティのGKバトランドが好セーブを連発
ホームのストーク・シティが積極的なプレッシングを見せ、それをポゼッションでやり過ごすアーセナル。
両チームともにチャンスを演出するもゴールは遠い。
新加入のヘセを中心に左サイドの攻略を試みるストーク・シティ
試合序盤、アーセナルがボールを積極的に動かす中、ストーク・シティは前線からのプレスで対抗する。
その後、新加入のヘセにボールを集め、左サイドから攻撃を仕掛けるが、ペナルティボックス内での決定的なシーンには結びつかず。
ストーク・シティのディフェンス陣は上手にブロックを敷き、アーセナルオフェンス陣の縦パスを封じる。
ところが右サイドのディフェンスラインの乱れをアーセナルに見破られ、立て続けにペナルティボックス内への浮き玉のパスを放り込まれるも、イングランド代表経験を持つGKバトランドの好セーブで事なきを得る。
25分、不運なことに攻撃のかなめであったMFシャチリは負傷交代のアクシデント。
それでもホームのサポーターに後押しを受けたストーク・シティは、自分たちのペースを乱す事なく試合を進めていく。
徹底的にストーク右バックの背後を狙うアーセナル
プレミア屈指のポゼッションサッカーを徹底するアーセナルは横パスを多用し、ストークのプレスに対応していく。
しかし、新加入のセンターFWラカゼットにはなかなか決定的なパスが送り込めず、トップ下のエジルも敵陣アタッキングサードでは良い形でボールを受けられずにいた。
前半の中盤、試合の流れがアーセナルに傾く。
アーセナルは敵陣右バックに活路を見出し、そこから徹底的にペナルティボックスへと侵入を試みる。
その後もラムジーが前線でボールをうまく引き出したり、右サイドのチェンバレンが勢いある突破を見せたが、どうしてもゴールが遠い。
前半のうちにゴールを決めて優位に試合を進めたいアーセナルであったが、無得点のまま後半へと折り返した。
後半 : ヘセ、プレミアリーグ移籍直後にして値千金の初ゴール
この試合の見せ場は後半開始2分に訪れた。
ヘセのゴールは自陣からの強烈なスプリントから
パリ・サンジェルマンから移籍を果たしてわずか3日あまりのヘセは後半開始2分に見せ場を作る。
自陣中盤でボールを奪ったストークシティは一気にカウンターをしかける。
カットしたボールをピッチ中央で受けたヘセは、持ち前の力強いスプリントでアーセナル陣内へとボールを運んでいく。
相手ペナルティボックス左付近に上がっていたベラヒーノにボールを預け、自身はペナルティボックス手前中央から、ボックス内のスペースへと斜めに走り込み、ベラヒーノから絶好のタイミングでラストパスを受ける。
ヘセは左足で冷静にゴールへと流し込み、移籍直後にして嬉しい初ゴールを達成した。
以後は辛抱強く守りを固めていたが、アーセナルがジルーを投入してきたことで縦パスを防ぎきれなくなり、ゴール前への侵入を何度も許すこととなる。
それでも、この日ストーク・シティはGKバトランドのファインセーブに何度も救われるだけでなく、ホームのサポーター、そして運までも味方についているのではと思える試合展開であった。
ジルーの投入で流れを変えたアーセナル、結局は不運の判定に泣く
警戒していたストーク・シティのカウンターに対応できなかったアーセナル。
その後もなかなか決定的な縦パスを入れられずにいたので、ラムジーを前がかりのポジションに配置すると同時に、トップ下のエジルが中盤の底まで下がりゲームを組み立て直す。
しかし、前半のDFラインの乱れを修正したストーク・シティの強力なブロックを前に、見せ場が作れない。
そこでベンゲル監督はDFコラシナツに替わりFWジルーを投入。
DFラインを3バックから4バックへと変更すると、ポストプレーを得意とするジルーに有効なパスが入り、彼を起点にアーセナルはペナルティボックス内でチャンスを演出し始める。
アーセナルの一番の見せ場にして、大きな物議をかもしたのは72分のシーン。
ストーク・シティのペナルティボックス中央付近にて鋭い縦パスが入ると、受け手のジルーが巧みなワンタッチでラカゼットにはたく。
流れてきたパスをラカゼットが目の覚めるようなシュートでゴールネットを揺らす。
だがこのシーンはオフサイドの判定が下る。わずかに足ひとつ分のオフサイドの笛にアーセナルベンチは騒然となる。
結局、相手ゴールキーパーのバトランドがスーパーセーブを連発、ストーク・シティの強力なブロックを前にゴールを奪えないアーセナルは、開幕二連勝を逃してしまった。
まとめ
試合結果
ストーク・シティ 【1-0】 アーセナル
アーセナルは18本のシュートを放ち、ボールポゼッション率77.3%で試合を進め、ストーク・シティはシュート数11本、ボールポゼッションの放棄で対抗した。
前半はラカゼットとエジルの存在がゲームから消えてしまったアーセナルであったが、敵の右サイドバックへと猛攻を浴びせ、後半はFWジルーの投入で中央からの突破を仕掛けられるようになった。
しかし後半早々のカウンターでの得点後、ストーク・シティはゴールキーパーのバトランドを中心に粘り強い守りでアーセナルの攻撃を弾き返し、前節エヴァートン戦で落とした勝ち点3をものにした。
ストーク・シティは昨シーズンは一度もチェルシーやリヴァプール、アーセナルといったプレミアトップ6から勝ち星を奪えなかった分、今シーズンのスタートは上々と言えるだろう。
ストーク・シティは、驚異的な適応力を見せたヘセをはじめ、新加入メンバーを上手くまとめあげ、この勢いのままリーグトップ10入りを目指したい。
試合後、アーセナルのベンゲル監督は72分のオフサイドの判定に不服そうであったが、それ以上に失点シーンでのディフェンス陣の対応には大いに不満を感じていることだろう。
とはいえ徹底的な守りとカウンターでの一撃で試合をものにしたストーク・シティを、アーセナルが崩しきれなかったのは事実であった。
8月の開幕でいつもつまずいてしまうアーセナルは、欲しかった連勝を逃した悪い流れのまま、次節はリヴァプールとのアウェイマッチへと臨む。
アーセナルは次のリヴァプール、第5節のチェルシー戦を前に、サンチェスの去就はもちろんのこと、今シーズンのチームのベースを固めたいところだ。